夏の日差しが強くなるにつれ、
浅草の街にも少しずつ人が戻ってきました。
それでも、コロナ前のような活気とは違い、
どこか皆さんの歩みがゆっくりで、
疲れがにじんでいるように感じます。
暑さの中で店に立ち寄られた方が、
「ちょっと休ませてください」と
扉の前で小さくつぶやかれました。
その一言に、胸がぎゅっとしました。
そこでこの夏は、
ご希望の方に 「夏の涼香の小包」 を
そっとお渡しすることにしました。
白檀のやわらかな甘さに、
ほんの少しだけ涼しさを添えた小さな香包。
強すぎず、家でも仕事場でも使える、
やさしい夏の香りです。
「これ、いい香りですね」
そう言って表情がふっと緩む瞬間、
香りが人の心をほんの少し軽くしてくれることを
改めて感じました。
にぎやかさとは違う、
静かな浅草の夏。
その中で生まれた小さな温度が、
私自身の気持ちもそっと整えてくれました。
秋が来るころ、
またゆっくり香りと向き合う時間を
皆さまと囲めたらと思っています。